有機農業への移行で収益アップ! 収益向上のカギとは?
こんにちは。当サイト管理人です。最近は有機農業についての記事を多く見受けられます。物価高騰のあおりで食料品への関心が高まり、安全な食品を生産するには国内でも有機農業が必要だと多くの人が気づき、これまでの農業のあり方に警鐘を鳴らし始めた証だと思います。
農業は人類の生存基盤を支える重要な産業です。 しかし、従来の農業は化学肥料や農薬の大量使用により環境、破壊の一因ともなりました。
有機農業とは、化学物質を一切使わず、土壌を持つ自然の生産力を最大限活用する農業のことです。生物の多様性保全や化学物質による土壌・水質汚染の防止など、環境保護の観点から大きなメリットがあります。
同時に、有機農産物の需要が世界的にどうなっていくのか、また、有機農業への移行は農家の収益アップにもつながる可能性があることも理解され、取組は増えてきていますが、新たな課題もあります。
本文では、有機農業が実現する農家の収益向上効果とその課題、そして収益アップを実現するためのポイントについて解説していきたいと思います
さてこれからが本題になりますが、分かり易く解説していきますので、最後までお読みいただけると幸いです。
目次
有機農業の概要と重要性
有機農業の定義と原則
有機農業とは、化学肥料や農薬を一切使用せず、土壌の持つ自然の生産力を最大限に活用する持続可能な農業の形態です。作物の栽培から収穫、流通過程において、環境負荷の低減を徹底することが原則となっています。生物の多様性や生態系の保全を重視し、土壌を大切にする農法が特徴です。
従来の農業との違い(化学肥料、農薬不使用など)
従来の慣行農業では、収量を上げるために化学肥料や農薬を多用してきました。一方、有機農業はこれらの化学物質を一切使わず、堆肥などの有機質肥料と、天敵利用や物理的防除などの方法で病害虫を防除します。作物の生育環境を整え、土壌の質を高めることで安定生産を目指します。
環境保護と持続可能性への貢献
化学物質を使わないことで、有機農業は土壌や水質の汚染を最小限に抑えられます。また、農薬の散布による生物多様性への悪影響もありません。土づくりを大切にする営農スタイルにより、土壌環境を守り、持続可能な農業を実現できるのが大きな利点です。環境保護と食料生産の両立が可能な、循環型で持続可能な農業として、その重要性が高まっています。
有機農産物の需要動向
消費者の健康志向の高まり
近年、食の安全・安心に対する関心が高まる中で、有機農産物への需要が増加しています。有機農産物は農薬や化学肥料を使わないため、残留農薬の心配がありません。健康被害のリスクが低く、安全性が高いことから、消費者の健康志向の高まりを背景に世界的に需要が拡大しています。
環境意識の向上による需要増加
地球温暖化や生物多様性の問題など、環境問題への関心が高まる中で、環境に配慮した有機農産物のニーズも高まっています。化学物質を使わず、生態系を守る有機農業の取り組みに共感する消費者が増え、有機農産物の需要拡大につながっています。
有機農産物市場の成長予測
こうした健康志向と環境意識の高まりを受け、有機農産物の世界市場は拡大基調が続いています。
欧米に加え新興国でも需要が伸びており、2020年の世界の有機農業市場規模は950億米ドルでしたが、2021年から2030年までの予測期間中、年平均成長率(CAGR)は9%で推移し、2030年には2,250億米ドルに達すると予想されています。日本国内でも年々需要が高まっており、流通業界での有機農産物の販売強化も進んでいます。
https://newscast.jp/news/4261096#:~:tex
有機農業への移行による収益アップの可能性
付加価値の高い有機農産物の販売
有機農産物は、安全性が高く環境にも配慮されているため、付加価値の高い商品として販売できます。健康志向や環境意識の高い消費者から高い評価を受けており、従来の農産物よりも高値で販売できる可能性があります。需要の増加に伴い、有機農産物の販売単価は上昇基調にあり、収益アップにつながります。
生産コストの削減(農薬、化学肥料の不要)
有機農業では農薬や化学肥料を一切使用しないため、これらの購入コストがかからず、生産コストを大幅に削減できます。代わりに堆肥などの有機質肥料を使用しますが、肥料費は化学肥料に比べて安価です。病害虫対策に手間がかかる分コストはかさみますが、農薬代がゼロになることで、全体のコストを下げられます。
長期的な土壌保全による収穫量の安定化
有機農業では化学物質を使わず、土作りを徹底します。土壌に有機物を十分に投入することで、長期的に土の環境を守り、作物の生育を安定させられます。収量の年次変動が小さくなるため、安定した収入が見込めます。一方、化学肥料の連用は塩類の蓄積など、土壌環境を悪化させがちです。
有機農業への移行に伴う課題
認証取得の手続きとコスト
1.制度の概要
JAS法に基づき、「有機JAS」に適合した生産が行われていること
を第三者機関が検査し、認証された事業者に「有機JASマーク」の使用
を認める制度。
農産物、畜産物及び加工食品は、有機JASマークが付されたものでな
ければ、「有機○○」と表示できない。
有機農産物として販売するためには、国や自治体による認証を受ける必要があります。認証取得には、生産工程の審査や定期的な立ち入り検査など、厳しい基準をクリアしなければなりません。また、審査料や年会費など一定のコストも発生します。特に移行初期は、こうした認証取得の手続きと費用がかかります。
環境への配慮が必要な栽培管理
有機農業では農薬に頼れないため、病害虫への対策が従来より難しくなります。天敵の活用や物理的防除など、環境に配慮した対策が求められます。また、雑草対策も手間がかかります。こうした栽培管理には高度な技術と経験が必要不可欠です。環境に負荷をかけずに安定生産を実現するのが大きな課題です。
収量の一時的な低下リスク
従来の農地では化学物質の残留があり、有機農業に移行した初期段階では、それらが作物の生育を阻害する可能性があります。土壌が有機農業に適応するまでの移行期間中は、収量が一時的に低下するリスクがあります。しっかりとした移行計画と、堆肥などによる土づくりの徹底が欠かせません。
移行初期のこうした課題をクリアできれば、安定した収益が見込めるようになりますが、準備期間には 労力とコストがかかることに留意が必要です。
まとめ
有機農業は、環境保護と農家の収益アップの両立を可能にし、持続可能な農業形態です。化学肥料や農薬を一切使用しないことで、土壌や水質の汚染を防ぎ、生物の多様性を維持するやはり、生産コストを削減でき、有機農産物への需要増加に支えられた高付加価値販売により、収益アップが期待できます。
しかし課題も多くあります。認証取得の手続き、病害虫対策の技術習得、設備投資など、新たな取り組みが必要になり、移行初期は一時的な収量低下のリスクもあります。そのため、行政や民間の支援制度を上手に活用し、地道に取り組むことが重要です。
幸い、国の有機農業に対する支援政策「有機農業推進計画」や「みどりの食料システム戦略」などでは、設備施設に係る費用の一部の補助を支援制度がたくさんあります。
環境と経済の両立は可能であり、適切な支援策の活用によって、より多くの農家が有機農業へ移行でき、環境保護の課題を同時に解決する、大きな選択肢になり得るのが有機農業なのです。