【日本の食文化ミステリー】「東の豚肉、西の牛肉」境界線は? 分水嶺の関ヶ原に隠された驚きの真実

お肉大好きな皆さん!こんにちは、当ブログの管理人です。
本日は前回に続き、「お肉のトリビア」のお話です。

「ふんふん、なるほど」と思える話題を歴史になぞらえてミステリー仕立てでご紹介していきます。

最後までお読みいただけると嬉しい限りです。

日本の食卓に欠かせない「お肉」。
カレーライス、肉じゃが、すき焼き……おなじみの家庭料理を作る際、
あなたが選ぶのは「豚肉」ですか?
それとも「牛肉」でしょうか?

実は日本には、東日本と西日本で好まれるお肉の種類が真っ二つに分かれるという、世界的に見
ても非常にユニークな食文化が存在します。

いったい日本のどこに「境界線」が存在するのか。

今回は、統計データや歴史的背景、そして明確な境界線とされる「あの有名な町」の秘密まで、
たっぷり深掘りしていきます!

天下分け目の戦いは「お肉」でも起きていた!? 境界線は関ヶ原


東日本の豚肉文化と西日本の牛肉文化。

グラデーションのように徐々に変化していくと思われがちです

が、実は「ここを境に劇的に変わる」という明確な境界ポイントが存在します。

それはなんと、1600年に天下分け目の大戦が起きた場所としてあまりにも有名な、
岐阜県不破郡関ケ原町と、その西隣に位置する滋賀県米原市の間です。

テレビ番組や自治体が行った文化調査、さらには地元を対象にしたアンケートなどによると、
岐阜県関ケ原町(東日本側)では、家庭のカレーや肉じゃがに入れる肉として、5割強の家庭が「豚肉」を選択
します。

しかし、関ケ原町から伊吹山地の山を一つ越えて滋賀県米原市(旧柏原中学校や伊吹山中学校
のエリアなど)に入った途端、その割合は一気に逆転。

なんと6割前後の家庭が「牛肉」を使うと答えるのです。


車で走ればわずか数十分の距離にもかかわらず、山のこちらとあちらで食卓のメインキャストがガラリ
と入れ替わるのは、驚くべき現象と言えるでしょう。

ちなみに、この関ヶ原周辺の境界線は、お肉の種類だけにとどまりません。

ファストフードの「マクドナルド」を「マック」と呼ぶか「マクド」と呼ぶか。

お正月に食べるお雑煮の餅が「角餅」か「丸餅」か。

うどんのつゆが「かつおだしの濃口醤油」か「昆布だしの薄口醤油」か。

さまざまな東西文化が衝突し、分かたれる「文化の関ヶ原」として、現代でも重要な意味を持っているのです。

日本列島を分断する「フォッサマグナ」と東海地方のグラデーション

局所的な境界線は関ヶ原ですが、もう少しマクロな(広域的な)視点で日本地図を眺めてみましょう。

日本の東西文化を分けるもう一つの大きな壁として知られているのが、新潟県糸魚川市から静岡市付近
を結ぶ「糸魚川静岡構造線(フォッサマグナの西縁)」です。
    ※ 中学の地理で習ったとき、フォッサマグナという言葉は魅力的だった思い出!

この大断層帯は、地質学的な境界であると同時に、人々の生活文化を分かつ壁としても機能してきました。

険しい日本アルプスの山々が、東と西の文化の交流を阻む自然の要塞となっていたからです。

そして興味深いのが、この構造線と関ヶ原の間に位置する「東海三県(愛知県、岐阜県、三重県)」の
存在です。

東海地方は、東日本の豚肉文化と西日本の牛肉文化が複雑に混ざり合う、
いわば「食の移行地帯(グラデーションエリア)」となっています。

例えば、愛知県では「味噌カツ」のように豚肉を愛する文化が根強い一方で、
すき焼きや焼肉では牛肉もしっかり消費します。

この東海エリアを西へ西へと進んでいくと、徐々に豚肉の影が薄くなり、
滋賀県の県境(関ヶ原)を越えた瞬間に「お肉といえば牛!」という
強烈な西日本文化圏へと突入していくのです。

データは嘘をつかない!総務省「家計調査」に見る圧倒的な東西差

「本当にそんなに違いがあるの?」と疑う方のために、
科学的かつ統計的な裏付けをご紹介しましょう。

総務省が発表している「家計調査(二人以上の世帯)」の都市別データを見ると、
お肉の購入量における東西のコントラストが一目瞭然となります。

            肉の種類 消費量・支出額が多い都市(東日本) 消費量・支出額が多い都市(西日本)

どうですか! データーは見事に地域ごとの特性を現わしていますね。

牛肉の年間購入量が極めて多い「トップクラス」に君臨するのは、近畿地方の都市ばかりです。

関西人にとって「お肉」という言葉はデフォルトで「牛肉」を指すと言っても過言ではありません
(豚肉の入った中華まんを、関西ではわざわざ「豚まん」と呼ぶのもこのためです)。

西と東で、牛肉の消費量にはなんと約3倍もの開きがあります。

一方、豚肉の購入量・支出額が非常に多いのは関東圏を中心とした東日本の都市です。

とんかつ、豚の生姜焼き、豚汁など、東日本の定食屋の定番メニューを思い浮かべれば、
いかに豚肉が愛されているかがわかります。


なお、日本の首都・東京(23区)は、日本全国から進学や就職で人が集まるため、牛と豚の消費量が
ちょうど拮抗し、日本で最も「中立的」なバランスを保っています
。多様な文化が入り混じる大都会ならではの現象ですね。

なぜ東西で分かれたのか?鍵は江戸時代の「農耕」にあった


では、一体なぜこれほどまでに東西で好まれるお肉が分かれたのでしょうか。

その答えは、明治時代以前の日本の農業、とりわけ「家畜」の使われ方の違いに隠されています。

東日本は「馬文化」からの転換


関東平野などの広い平地が広がり、畑作が盛んだった東日本では、
機動力があり荷役にも優れた「馬」が主に飼育されていました。

明治時代に入り西洋から肉食文化が輸入されましたが、馬は軍馬として重要視されたため、
容易に食べるわけにはいきませんでした。

そこで、狭い土地でも残飯で育てやすく、繁殖力も高い「豚」の飼育が関東周辺で奨励され、
急速に豚肉文化が広まっていったというわけです。

西日本は「牛文化」の延長線


西日本では古くから水田耕作(稲作)が中心でした。

水を含んだ重く粘り気のある田んぼを深く耕すには、足腰が強く粘り強い「牛」の力が不可欠だったのです。

西日本では古くから役目を終えた農耕牛を食べる(または肥料にする)という文化の土壌がありました。

明治時代に「牛鍋」が流行した際も、西日本にはすでに良質な牛を育てる環境が整っていたため、
そのままスムーズに現代の牛肉文化へと発展していきました。

九州は「鶏文化」 畜産の生産拠点 

九州の食肉消費は圧倒的に「鶏肉文化」を誇っています。

大分の「から揚げ」。
宮崎の「地鶏炭火焼」「チキン南蛮」。
福岡の久留米は「焼き鳥」の発祥地。

でありながら、鹿児島や宮崎は、牛と豚の一大生産拠点でもあります。

それほど、九州はお肉の文化が多彩です。

 ?謎  佐賀県は鶏肉と牛肉のダブルエース

畜産王国九州での佐賀県は特異です。

鶏肉と牛肉の消費量は全国でも有数な順位にランキングしています。

ただし豚肉となると、消費ランキングは最下位に近いグループに属しています。

豚肉が消費されない要因は、

佐賀牛としてブランドが確立、古くからの一大生産地。

また圧倒的に鶏肉の消費が多いために、豚肉の消費が伸びず、
ランキング下位にとどまっていると思われます。

まとめ 次のお休みは「食の境界線」を探す旅へ

私たちが普段何気なく食べているカレーや肉じゃがのお肉には、
関ヶ原の地形、フォッサマグナの断層、そして江戸時代の農耕の歴史という、壮大な日本の歩みが詰まっています。

「東の豚肉、西の牛肉」。この違いを知るだけで、国内旅行や出張がさらに楽しくなるはずです。
あなたの家庭の肉じゃがは、豚肉ですか?
それとも牛肉ですか?
ぜひ、ご自身のルーツと照らし合わせてみてください。

最後までお読みいただき有難うございました。

またのご訪問をお待ちしています。